知っておきたい海外の残業事情

日本では、2019年に施行された働き方改革によって社員の残業が大きく制限されるようになりました。
これまではサービス残業をしていた人にとっては、これまでよりも早い時間に帰宅できるようになったでしょう。
しかし一方、残業代を出すから残業しろという企業でも残業制限は適用されるため、これまで残業代で給料の手取りを底上げしていた人にとってこの改革によって収入減というケースもあります。

そんな日本国内の残業事情と比較して、海外では残業はどのように考えられているのでしょうか?
各国の残業事情を見ると、各国共に社員が残業した場合の残業代に関する規定は定められていることが多いです。
ヨーロッパ諸国では、ドイツのように2時間までの残業なら25%増し、それ以上は50%増しだとか、スウェーデンのように平日20時までなら50%増し、休日は100%増しのような時間での規定となっている国が多いです。

一方アジア諸国を見ると、ヨーロッパと比べると残業に対する厳格な規定を設けていない国が多い傾向があります。
韓国の場合には全ての残業が50%増しで、残業は週に12時間までという規定がありますが、これは2018年に作られた新しい法律です。
シンガポールでは、月給20万円以上なら残業代の支給義務はありません。
日本では上記のように、2019年になってようやく法的に残業代の制限が設けられました。

残業に対する考え方の違い

残業に対してどのように考えるかという点は、その国の文化と大きな関係があります。
例えばアメリカの場合には、基本的に平均的な残業時間は他の国よりも少ない傾向にあります。
仕事と同じぐらいプライベート重視という風潮があり、それぞれの社員にジョブ・ディスクリプションという職務内容が細かく明確化されています。
そのため、自分の仕事が終われば他人がどうであっても帰宅しやすい環境が多いです。

ドイツの場合、自分以外の仕事は断るという風潮があります。
そのため、他人に頼まれた仕事のために残業をする事はほとんどありません。
有休や病欠などは日本よりも充実しており、プライベートな時間を大切にしやすい土壌があることも残業が少ない文化の背景にあるのでしょう。

韓国では、現在では法制度によって上記のような残業制限が設けられましたが、それ以前には長時間労働が慢性化しており、社会問題にもなっていました。
そうした考えがまだ残っているものの、法律によって残業に規制が欠けられたことで少しずつ残業に対する考え方も変わりつつあります。
国によっては、韓国や日本のように制限残上時間を超えて社員を働かせると、企業にペナルティとして罰金もしくは懲役刑が課せられるケースもあります。
そうした点からも、世界的に残業は確実に少なくなる傾向にあります。